生まれ育った環境に関係なく、将来に希望を持ちワクワクできる社会を目指して

平井大輝(Hirai Daiki)

CLACK代表、大阪府立大学4年(2018年11月現在)

プロジェクト紹介シリーズ

TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadership 2018夏プログラム(※1)参加者のプログラムを通じて得た学びと自身のプロジェクト(※2)についてお伝えします。
第四弾は、中学生の時に両親の自営業の廃業と離婚により、経済的理由で様々な困難を経つつも、「同じような境遇で苦しんでいる子どもの支援をしたい」と、貧困層の高校生にプログラミング教育の機会と様々な大人との継続的な接点を与える団体CLACKを設立した平井大輝さんです。

※1-18~25歳までの方を対象とし、日本、アメリカ、そして世界にポジティブな変化をもたらすことができる、日本の次世代社会起業家やコミュニティーリーダーを育てるためにデザインされたプログラムです。全国各地から選び抜かれた参加者たちが、米国ワシントン州シアトルと日本の両方で、体験型リーダーシップトレーニングを受け、日本社会に実際にイノベーションを起こしていきます。 計約5か月間のプログラムで、3つのフェーズに分かれています。フェーズ1(2018年7月~8月)は日本での準備期間、フェーズ2(2018年8月)はシアトルでの4週間研修、フェーズ3(2018年9月~11月)は約3か月間の日本でのプロジェクト実行期間です。
※2ー日本社会をより良くするために、参加者が自分の夢や想いに従って行う社会改革活動です。

プロジェクト紹介

「CLACK」は環境・経済的に困難な状況にある高校生に対し、無料でプログラミングを学べる機会と居場所を提供し、彼・彼女らが将来の進路の幅を自ら広げるための支援を行なっている団体です。

CLACKのプログラムを受講した受講生らが将来社会に出て活躍することによって、「生まれ育った環境に関係なく、子どもが将来に希望を持ちワクワクして生きていける社会」を実現していきます。

CLACKの由来:Crash of Lack – Lack(不足)している状態をクラッシュする、苦楽 

CLACKのFacebookページ:https://www.facebook.com/clackpc/
CLACKのクラウドファンディング(2018年10月26日終了):https://camp-fire.jp/projects/view/87139?fbclid=IwAR0Q9vZVVxYC-H9CsP2vy8UvoHAgUeIwiU9J00udDzXrPsriT_Nsb0k0Zko

Daiki crowd funding
自分の中で増した納得感

このプログラムに参加する前は、「自分がやらなければ誰もやらないから」というスタンスで活動をしていました。ストレスを抱えた時も、自分の気持ちは気にせず、「やるべきこと」をやってきました。今はまだ試行錯誤中ではありますが、シアトルで「自分の在りたい姿」と「やるべきこと」のマッチングができるようになって、周りからも「楽しそうに話すようになった」と言われるようになりました。

具体的な変化について言うと、今までは「貧困層の高校生の進路選択を広げる」という目標を掲げていましたが、何度も言っているうちに小さな違和感を持つようになったのです。僕は「おもろいヤツ」が好きなのですが、CLACKの活動とおもろいヤツが好きなことはそんなに関係がないと思っていました。だけど、実際は関係していて、ネガティブな感情を良い方向に変えて、社会を面白くする仲間を増やしたい、わくわくして生きる若者を増やしたい、というのが僕の本当の目的なのだと気づきました。この思いは、何十回だろうが何百回だろうが、違和感なしに人に話せると思います。この目的を達成するための現実的な一つの方法として、高校生の進路選択の幅を広げるというのがあったのだと、自分の中で納得がいきました。

本気度が増して人を巻き込めるように

自分自身が楽しく本気で活動できるようになったことで、周りの人も本気で巻き込めるようになりました。プログラム参加前は実質全てほぼ一人でやっていて、時々人に頼んでいる程度でしたが、現在はコミットしてくれているメンバーが運営5人、講師5人の計10人います。

そのうちの一人、勝原菜月さんは同じプログラムに参加したメンバーで、広報やクラウドファンディング、NPO向けのIT支援サービスの活用法の調査、団体のビジョンを形にする手伝いなどをしてもらっています。NPOやNGOでのインターンシップ経験がある方なので、彼女の得意分野を生かして、自分には足りないところを補ってもらっています。

CLACKにメンバーとして加わった勝原菜月さんと

他にも将来一緒に働きたいなと思っていた、同じ想いを持っている人にCLACKの副代表として活動してもらえることになったり、メンバー一人一人が自分の能力や、やりたいことを踏まえた上で主体的に活動してもらうことが徐々にできるようになってきました。

レーニア山にて、グループプロジェクトのチームとマイクロソフトアドバイザーSalvador Sanchez
アドバイザーに学んだプロフェッショナルとしての心構え

マイクロソフトアドバイザーの方々からは、プロフェッショナルとしての心構えを直に学べたのが大きかったです。シアトル滞在中、担当アドバイザーの方がマウントレーニアに連れて行ってくれて、登山をしながらチームビルディングを学びました。登山においてもプロジェクトにおいても忍耐強く、精神的にサポートしてくれました。プレゼンテーション前に話をした時は、徹底的に前提条件を把握し、イレギュラーな事態を前もって想定しておくためのフレームワークをしっかりと持っているところなど、プロとして責任感を持って真剣に取り組む姿勢を学びました。今後プレゼンテーションやピッチをする機会が増えるので、この学びを是非自分の活動に生かしていきたいと思います。

シアトルだからこそ学べたこと

以前英語は、手段だからできなくてもいいかなと思っていました。だけどシアトルで日系アメリカ人リーダーの方々にお会いした際、これだけ活躍している大人が、熱量を持って本気で僕の話を聞いてくれて、初めて英語で想いを伝えたいと感じたと同時に、伝えきれないはがゆさがありました。

またシアトルだからこそ、の学びもありました。社会課題解決、持続可能な社会の実現に対し、熱心な人が多い都市で、先進的な事例を学べました。グループプロジェクトでは、マイクロファイナンスをアメリカの事情に合わせて効果的に運用しているVenturesというNPOの内部から、その実践モデルを体感できました。実際に見たり聞いたりできたことは、現在の計画中のCLACKの継続的な事業モデルへの参考にしています。

マイクロファイナンスを行うNPO、VenturesのスーパーバイザーJen Hughesと
リーダーとして覚悟を決めた転機

シアトルでのある体験が、リーダーとして覚悟を決める転機になりました。メンバー5~6人で講師の自宅であるワークショップに参加した時に、そこにいた皆が、自分の話をじっくり聞いてくれていたことで、急にその場にいる人たちが僕のことをリーダーとして期待してくれているというのが、とても伝わってきたのです。また、自分が本当にやりたいことを本気で話すことで、それを実現するためには自分がリーダーであるという自覚を持つ必要がある、と実感しました。

それまでは、リーダーシップは一種のスキルだと思っていました。だから自分がリーダーでなくてもいいなら、リーダーである必要はないと思っていました。その時々に適した人がリーダーであれば良くて、たまたま今自分がその役割をやっているのだと。だけど、あのワークショップを通じて、「自分がリーダーでいいのだ」と肚落ちしました。そして「本気で責任と覚悟を持っていこう」と自分の中で納得できるようになりました。

意識の変化から行動の変化、そして団体の成長へ

リーダーやプロフェッショナルとしての意識が変わったので、行動も変わってきました。目の前の利益に囚われず、もっと大きなビジョンを持って、何年も先を見据えた決断をできるようになりました。これによって出てしまった損失もありましたが、団体のビジョンに沿った決断ができたので、団体として大きく成長できたと思います。

「やるべきこと」と「やりたいこと」の両方ができるようになったのは、本当にこのプログラムのおかげだと思います。更に、参加者の皆と本気でぶつかりあって話をすることもためになりました。本気で向き合っていくうちに、今の姿勢にたどり着けました。全てが繋がっていると感じます。

シアトルでも日本でもネットワーク拡大し、プロジェクトが加速

シアトルにいたときは、現地で働いているIT関連の日本人10人以上に連絡を取り、そのうち3人にお会いしました。そのうちの一人は、マイクロソフトレドモンド本社に勤めている方で、直接お会いして、事業のプレゼンテーションを見ていただきました。その方から、実際にディベロッパー向けツールも戴くなどの事業支援を受けることができ、クラウドファンディングも応援していただきました。

帰国後のETIC.のメンタリングセッションでは、今できる事業イメージだけでなく日本全体規模で見たり、長いスパンで戦略を立てたりと、高い視座からのアドバイスを様々な団体の代表の方々にいただけました。NPO法人化するにあたり、誰に理事になってもらうか、法人化するタイミングなどについてもアドバイスをいただき、団体としての可能性が更に広がりました。

同じプログラムの参加者、安田遥さんがグラレコで描いたCLACKのビジョン

日本のマイクロソフトアドバイザーの方々は、ご自身の持つリソースをフルに活用してサポートをしてくださっています。例えば、リユースパソコンの会社を紹介していただいたり、プロジェクトの進め方や、目標設定のやり方をして教えてくださったりしました。それ以外にも、実際に高校生に教えていくプログラミングの内容について、エンジニア視点からのフィードバックもいただいてます。今後は、団体のビジョンやKPIの作成を手伝っていただきたいと思っています。

利害関係抜きに社会を良くする、新しい世代の一人として

今後は、まず10月にスタートしたプログラムに参加する高校生一人一人と本気で向き合って、全員良い方向に導いていきたいと思っています。3年で拠点を4つに増やし、100人の高校生にプログラムを提供するというのが目標です。また、プログラム運営だけでなく、教材を提供するなどの中間支援もできる団体にし、一人でも多くの子供たちを支援していきたいです。

他にもプログラミングを教える活動をしている団体はありますが、どこも敵だとは思っていなくて、皆味方というか、同じ方向に向かっていけたらいいなと思っています。社会を良くするという大きな目的のために、利害関係抜きにあらゆる人や組織と協力していく。自分もそういう新しい世代の一人だと思っています。

CLACKのイベントに参加した高校生と

2018年11月5日掲載

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