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グラレコでコミュニケーションを促進したい

安田遥 (Haruka Yasuda)

青山学院大学1年生(2018年12月現在)

プロジェクト紹介シリーズ

TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadership 2018夏プログラム(※1)参加者のプログラムを通じて得た学びと自身のプロジェクト(※2)についてお伝えします。
第六弾は、見たこと聞いたことを絵で記録するグラフィックレコーディングで人と人のコミュニケーションを促進するプロジェクトを行っている安田遥さんです。

※1-18~25歳までの方を対象とし、日本、アメリカ、そして世界にポジティブな変化をもたらすことができる、日本の次世代社会起業家やコミュニティーリーダーを育てるためにデザインされたプログラムです。全国各地から選び抜かれた参加者たちが、米国ワシントン州シアトルと日本の両方で、体験型リーダーシップトレーニングを受け、日本社会に実際にイノベーションを起こしていきます。 計約5か月間のプログラムで、3つのフェーズに分かれています。フェーズ1(2018年7月~8月)は日本での準備期間、フェーズ2(2018年8月)はシアトルでの4週間研修、フェーズ3(2018年9月~11月)は約3か月間の日本でのプロジェクト実行期間です。
※2ー日本社会をより良くするために、参加者が自分の夢や想いに従って行う社会改革活動です。

プロジェクト紹介

見たこと、聞いたことを文章ではなく絵に描いて可視化させるグラフィックレコーディング(以下グラレコ)を使って、人と人のコミュニケーションを促進するプロジェクトです。帰国後の3か月で、様々な団体や個人向けに、また講義やイベントなどで合計50枚以上のグラレコを描きました。グラレコの描き方やグラレコを通して得た気づきなど、グラレコに関するブログ(※)も更新しています。

https://note.mu/apo_volleyball

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可視化することでコミュニケーションの齟齬をなくしたい

例えば、「つきあう」という言葉がありますが、人によってその言葉のイメージは違います。毎日会うことをイメージする人もいれば、そうじゃない人もいます。これを絵にして可視化したら、お互いの齟齬(そご)がなくなるのではないかと思っています。

Phase2でシアトルに滞在中、グループのメンバーと話し合っていた時、コミュニケーションの齟齬を体験しました。話したい標的はあるけれど、それぞれ話していることがちょっとずつ違っていたり、うまく表現できていないから空振りしてしまったりしたのです。その状態で会話を進めても空振りし続けてしまうので、標的を確認して、それぞれがどこに立っているのかを示し続けることが大事だなと感じました。この齟齬の経験は、いまグラレコをやるうえでとても助かっています。

シアトルでのグループ会議でグラレコを活用
グラレコの可能性は、私自身の可能性でもある

なぜグラレコかというと、幾つか理由があるのですけど、まずは私自身にとってグラレコをすることで、とても物事を理解しやすくなったことがあります。例えば授業中に、何か話を聞きに行った時にも、グラレコを見るとあとで分かりやすいのです。

もう一つの理由は、人から求められるからです。フィードバックや意見をもらって、それによって私自身も嬉しいし、人の役に立ててる実感があります。グラレコに可能性を感じているけれど、それがどういう可能性で、どんなことができるのかわからないので、様々なことに挑戦したいです。グラレコの可能性を探るのは、私自身の可能性を探ることにもつながっているのかもしれません。

プログラム前に感じていた焦燥感

今年の1月頃、初めてお金を頂いてグラレコをすることになりました。自分のスキルが認められて、好きなことが仕事に繋がった喜びの一方、もっと仕事に対して責任を持たなくてはいけない、と思い焦りを感じたり、質を保たないと価値が落ちてしまうのでは、とも思い始めました。楽しいだけじゃできないのかも、と思ったのはその頃からです。このプログラムに応募した時は、仕事としてどうやっていくのか、どうやって価値を見出していくのか、という責任感と焦燥感がとても強かった時期でした。

結果ではなく過程を楽しみたい

プログラムに参加して変わったことの一つとして、もっと色々なことを楽しくやってみようと思うようになりました。

シアトルで日系アメリカ人の女性リーダーにお会いした時、「成果物じゃなくてプロセスを楽しんだらいいんじゃない?」と言われました。「成果物を決めてからプロセスにとりかかると、できた時には時代遅れになっていたり、プロセスが楽しくなくなったりする」と。なぜこの言葉が響いたのか、というと自分が求めていた言葉だったのかもしれないです。それまでは、どうしたら定期的に仕事がもらえて食べていけるのか、という結果に最短距離で近づく方法を考えていた。グラレコに対しても、どうやったら早く最短で書けるかと思っていました。でも、そこじゃないんだなと気づいたのです。

日系アメリカ人リーダーのセツコさん(写真後方左)とプログラム参加者メンバー。安田さんは前列左から二番目。
皆に必要とされる必要はなくて、必要としている人に届けばいい

他にも印象的なことがありました。アメリカのマイクロソフトアドバイザーのお一人が、ご自身も読字障害があって、自分の理解を深めるためにビジュアル化しているから、グラレコは良いと思うと言ってくださいました。「皆に必要とされる必要はなくて、必要としている人に届けばいい」と聞き、仕事としてやるなら多くの人たちに必要とされる存在にならなくてはいけない、という前から持っていた固定観念がなくなりました。この言葉の後、「コミュニケーションの促進ツール」としてグラレコを使うプロジェクトにしようと思いました。

環境を変えたからこそ見えてきた自分のルーティーン

ホストファミリーとの滞在でも多くを学びました。家では何を食べてもいいし、好きにしていいよと言われ、最初は好きにするって難しいなと思いました。というのも、日本では「何でもいい」といって流されて生きていくことが簡単にできるけれど、ここでは自分で何を食べたいか決めて、自分で持ってきて、といういろいろな選択肢がある。

好きにするためには、自分が何をしたいのか知らないといけない。毎食、「今、何が食べたいんだろう?」と自分に問う必要がありました。選択肢が多くあること、そしてその選択肢を知ったうえで、自分で選ぶということ。この小さな選択を毎日日常生活の中でしていくと、自分のアンテナを張れるようになれるのではと思いました。

プログラム参加メンバーと滞在したホストの家族と

こういうことがきっかけで、自分が無意識で言っていたことや行っていた行動に気づくことができました。環境が変わったことで、自分のルーティーンが見えてきたのです。

いまは自分が何にわくわくしているか、自分は何が嫌なのか、など無意識に感じていたものを、意識的にする回数を増やすようにしています。環境を変えたりすること、会う人を固定化しないで、違う分野の人に会うこと、を増やすともっと自分を知ることが出来ると気づきました。

広がった興味分野

プログラム後は、自分の興味分野以外の事も、もっと挑戦してみたいと思うようになりました。それは一緒に過ごしたプログラムの仲間たちの影響が大きいです。最初は、なんでこんなことに興味あるの?と思った人に対しても、よく話を聞いてみるととても愛があって、その人のことをもっと知りたくなる。いまは同期の仲間とものづくりの現場に行ったりしています。

結果ではなくプロセスを楽しむ、ということを端的に表現したら、ここに繋がったという感じだと思います。

余計なものがそぎ落とされた

帰国後のETIC.のセッションでは、ETIC.代表の宮城さんにメンタリングをしていただきました。そのときも、自由に好きにやった方がいいのか、お金のことを考えた方がいいのか相談したところ、「できるなら好きに楽しく自由にやった方がいい」「あなたのグラレコに価値を感じる人が出てくれば、お金は自ずとついてくる。出し惜しみなくやったほうがいい」とのアドバイスをいただきました。

プログラムに参加して、様々な角度からフィードバックをもらえたからか、自分の中の余計なものがそぎ落とされた気がします。「~しなくちゃいけない」や「こうあるべきだ」などの、自分にとって必要でないものに気をとられなくなりました。

帰国後、マイクロソフト品川本社で行われたPhase3セッションの様子
グラレコのオンラインコミュニティを設立

Phase3の間、学び合いの場を作るために、グラフィックレコーディング勉強コミュニティ(仮)というオンラインコミュニティを起ち上げました。そうしたら日本のマイクロソフトアドバイザーの方が、オンラインコミュニティの運営経験があって、グラレコにも興味があるという方と繋いでくださり、その中核メンバーとして関わってくださることになりました。お互いにこういうイメージでやっていきたいと伝え、達成に必要なツールやプロセスを提案してくださっています。現在はコミュニティの正式名や、どのプラットフォームを使うかなどについて中核メンバーたちと話し合っています。私は感覚的にグラレコをやっているので、このコミュニティを通して、まわりの人たちにグラレコの可能性を言語化してもらっていることに、とても感謝しています。

日本での活動を支えてくれたマイクロソフトアドバイザーたちと
世代を超えたコラボレーション

プログラムに参加して、縦のつながりもできました。過去プログラムに参加した方の紹介で、「アイランダー2018」(※1)というイベントに参加したのですが、そこで2017年プログラムの参加者、小幡絵美梨さん(※2)と一緒にグラレコをしました。二人で同時にグラレコをすると、それぞれ頭の中で描く完成像が違う中で、絵ですり合わせながら進めるのが楽しかったり、うまくいかなかったりしました。また、自分が普段接していない「島」という分野での集まりに行ったことで、今後も様々な分野を見ていきたいなと思いました。

2017年夏のプログラム参加者の小幡絵美梨さん(右)と

※1:2018年11月に開催された、全国の島々が集まり島の魅力を発信し、離島と都市の交流を図る祭典:http://www.i-lander.com/2018/index.html

※2:小幡さんのプロジェクト紹介記事はこちら

目的と方法を解きほぐした先に

プログラムを通して、私は目的と方法を間違えやすいことに気づきました。こうしなくちゃいけないという目的と、この手段じゃなくちゃという方法の固定化。でもこの「目的」と「方法」を解きほぐした先に「楽しさ」を見つけました。苦しさがなくなって、楽しくなりました。プログラムで会った人たちから頂いた想いのある言葉を通して、自分の信じてることを証明しているような気がします。

今後は、お金のことを考えずにやっていても大丈夫なうちは、どんどん楽しんでやっていこうと思います。対話をするなど自分自身が発見することがあるのが楽しいので、伝えていく人になるよりずっとプレイヤーでいられるような環境設定をしていきたいです。

2018年9月に開催された、全国の酪農家が集いネットワークを作り酪農の未来を拓く、全国酪農協会のイベント「酪農未来塾」で描いたグラレコ

2018年12月28日掲載

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